『ぶん★文★ぶん』

『ぶん★文★ぶん』

25年の重み・・・感謝の気持、そして、これからも・・・ 2005/09/26/(Mon)

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気がつけばピアニスト人生も四半世紀。あっという間だったのかもしれません。
デビュー25周年記念リサイタルは東京と名古屋で開催しました。プログラムの組み立てもいろいろと試行錯誤して、ブルグミュラー・25の練習曲、シューマン・交響的練習曲、ショパン・スケルツォ第2番、ショパン・スケルツォ第3番、ショパン・幻想ポロネーズという大きな楽曲を取り上げました。東京公演ではベーゼンドルファーにめぐり合い、名古屋ではいつものスタインウェイ。どちらのピアノもすばらしく、自分を包み込むように迎えてくれました。東京でのこの記念リサイタルを思いついたのは、今まで国内で中央(東京)への進出よりもヨーロッパ、海外へという熱い気持があったからですが、実際25年といういままでのピアニスト人生を振り返るとき、東京での演奏会の数は本当に少ないものです。名古屋を中心に、そして英国、、、それも生き方かもしれませんが、やはり日本人ピアニストである以上は、日本国内でももっともっと内容の濃い演奏活動も必要ではないかと考えるようになりました。自分のポリシーも長年の人生の中で曲がるのではなく変化し変貌を遂げるのは人間の性なのでしょう。

今回、25周年を迎えるにあたってとてもいつもの自分ではないことに気がつきました。普段の演奏会で睡眠が取れないなどということはなかったのですが、今回はなかなか寝付けず、緊張を全身で感じました。ある意味、意気込みばかりの空回りであった部分も否めないかもしれませんが、それでも心の奥底から最高の演奏をしたいと思っていました。ブルグミュラーを全曲というのはあまり演奏家が試みることではないかもしれませんし、自分自身もこの25年間、抜粋で何曲か演奏したことはありますが、全曲をプログラムに組み込むというのは、かなりの覚悟を必要としたはずなのですが、その割には凄く好きな楽曲だし何とかなるだろうという、若干うぬぼれがあったかもしれません。この25曲、決して大きな楽曲の集合体ではありませんが、全部を演奏するのに30分かかるとは思っていなかったのです。楽曲研究の進行に合わせてテンポ調整など25曲をワンセットとして表現する場合と、そのうちの何曲かを抜粋して演奏する場合とでは自分の弾きたいと思うテンポが異なることが多く、全体的にかなりスローなテンポに仕上がりました。リピートも不可欠なところは勿論リピートしながら、自分の判断で必要がないものはカットし、楽曲を仕上げるわけですが、今回のこの楽曲研究は本当に良い勉強になりました。仕上がる状況の中で日に日に楽曲への愛情が深まりそれと同時に緊張感もます日々。前半だけでもこの25曲の後シューマンの交響的練習曲を演奏しなくてはならないという精神的なプレッシャーも大きなものでした。
今までに★カレン★にさえ見せたことがないような緊張の様子は自分でも抑えることが出来ませんでした。楽曲との取り組みの中、腱鞘炎が顔を出したり、演奏そのものに安定感がなくなったり、自分の音楽を客観的に見られなくなったり、苦しさを感じながらの準備段階でした。
しかし、本番で板にあがると、お客様の暖かい拍手をいただきそれまでの準備段階のことなど、すべてが報われた気持になります。
25年間してきたこと、これが間違いではなかったことと確信しながら、次のステップをまた目指し、一生現役ピアニストとしてこれからも活動を続けていきたいと思っています。皆様に愛されるピアニストで居続けるために、これからももっともっと精進して板の上では輝いていたいと実感しました。

25年間の感謝の気持を込めて、これからも愛するピアノを弾き続けていきます。
 


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