|
以前、★まっとらんど★にはY君のいうお弟子さんがいました。このY君、★まっとらんど★でピアノのお稽古をしていたのはもう15年ほど昔のことでしょうか。もう大人に成長しているY君です。
Y君は名古屋の★まっとらんど★でレッスンを続けていましたが、お父様のお仕事の関係で奈良へお引越しされました。その後、インドネシアにお父様が転勤になられたことまでは知っていたのですが、その後のことはまったくわかりませんでした。
さて、このY君が★まっとらんど★の発表会で最後に演奏したのがショパンのワルツ第3番。とても音楽性のある素晴らしい演奏でした。まだ身体が小さかったY君は燕尾服に身を包みあの小さな手からどうやってこの美しいサウンドを奏でるのだろうかと思うほど素晴らしい演奏を披露してくれました。15年ほど過ぎた話でもその美しい音色は耳に残っています。
師匠とお弟子さんの関係・・・・ 口でサウンドやトーンを教えることはとても難しいものです。そしてお弟子さんは師匠の音色を肌で感じ、心で受け止めてその音色を目標にして、何とか自分なりに音色を作り上げていこうとしてくれると、師匠としてはたまらなくうれしいものです。呼吸の仕方、そして音楽の旋律ラインの中で以下にして息と生命力をメロディーの中に吹き込むかは師匠がやはり手本なり、見本なりを見せ、聞かせてあげなくてはなりません。その雰囲気をつかめるかどうか・・そしてそれをまねしようとしてその沿線上にお弟子さんなりのサウンドを模索する姿勢。これがとても大切なものです。Y君の場合は確かに自分も支障として若かったし厳しかったのは事実です。でも、その中から自然に彼はサウンドの世界に自分の感情をゆだねることが出来たお弟子さんでした。
今、★まっとらんど★にはH君という小学生の男の子がいます。このH君、彼もまた音楽を肌で感じ、心で表現しようとする素晴らしい才能を持った男の子ですが・・・・Y君とはまた一味違った演奏を聞かせてくれます。 今回の発表会に自分がH君のために課題としたのがショパンのワルツの3番。非常に時間がかかりました。でも、とてもミュージカルに演奏が出来るようになり、彼なりテンポ、彼なりの音楽表現が出来るようになりました。半年ほどかかったでしょうか・・・。ただ、彼の場合は音楽の表現が非常に主観的であり、客観的になれない部分があるんです。そして、一旦、楽曲が仕上がると、その方向性は暴走してしまう危険をはらんでいるんです。 この表現では非常にわかりにくいかもしれませんが、一旦全てを暗譜して演奏できるようになると『弾き慣れ』と我々の世界では言うのですが、頭で音楽を考えずに指先だけでただ音を拾う演奏になりがちという意味なんです。ワルツの三番を渡してから4ヶ月ほどが経過した頃、なんとなくその傾向が見え隠れするようになり、新しい楽曲を課題にしてあまり『弾き慣れ』にならない環境を作らなければ・・と師匠である自分は考えたわけです。
そして、渡したのが同じワルツ集より第7番。とっても有名な作品なのでご存知なかたも多いと思います。 私の演奏は http://www.youtube.com/watch?v=GUj2_dvgUUU ↑にありますが・・・。
それからのレッスンは3番と7番の両方を聞かせてもらってきました。 そして、三週間ほど前、H君の3番のワルツの演奏があまりにも素晴らしかったので、Y君の話をしたんです。同じワルツの三番を同じくらいの年齢で本当に美しく演奏してくれた男の子が以前にいたんだよ・・・って。 自分的には7番もとても素晴らしい作品ではあるけれども、今回の発表会ではH君に3番を演奏してほしいなぁ。 そんな気持ちも込めて、Y君の話をしたんです。 この頃には7番のワルツも仕上がり状況がよく、発表会当日どちらを演奏させるか迷ってしまうほどになっていました。本当のところ師匠としては半年も暖めてきた3番を演奏してほしいなぁ。。と今でも思っています。(明日が発表会なんですが・・・)しかしラストコーダが7番のほうが華やかなんです。それでH君はどうやら7番が演奏したいらしい・・・・。師匠の気持ちとは全く裏腹にお弟子さんは7番と思っていたようですが、心が少しでも動くかなって思ってY君の話をしてみたんですよね。どうやらH君はどうしても7番が弾きたいらしい。 そこで取り合えず7番の数箇所を次の週に直すことが出来たら本番は7番で言っても良いよってOKを出すことにしました。
そして翌日。。。。。 YouTubeの自分の動画を通して、Y君から突然にメールが届きました。15年ぶりのネット上での再会となったわけです。お友達のためにモーツァルトの動画を検索していたらどうやら自分の動画がヒットしたらしいです。
Y君は残念ながらお引越しと共に★まっとらんど★からは離れていくことになったのですが、今回、連絡をくれたのはアメリカからでした。アメリカが音楽を勉強しているとのこと。彼がインドネシアからアメリカに音楽の勉強のために進学をしたという事実を知ったとき、なんともうれしく思いました。音楽家を長くしてきましたが、なかなかお弟子さんまで音楽家に・・というのは難しいですからね。
それにしてもうれしかったなぁ。。。。しかも調度前日、Y君の話をH君にしたばかり。偶然にしてはあまりにもすごいタイミングでした。
翌週、その話をH君のレッスンのときにしてみました。というのも、やはり3番にしてくれないかなぁっていう師匠自身の希望的な試みでもあったんですけどね。。。
Y君にも『今、H君というお弟子さんがいて、Y君が自分と最後に一緒に勉強したワルツの3番を学習している子がいるよ。』という話をしたんです。そうしたらすぐに返信が帰ってきて『がんばるように伝えてください。』とのこと・・・その話もしたんだけどなぁ・・・・。思うようには行かないものです。
明日はH君、7番のワルツを演奏することでしょう。きっと素晴らしい演奏を聞かせてくれると思うのですが・・・・できれば3番を弾いてほしかったなぁ・・って思うのであります。
それにしてもY君とのYouTubeを通しての再会も、これまた感動でした。 |
|
|